説明

グアニジノ基含有シロキサンおよび化粧品配合物のためのその使用

【課題】 本発明の目的は、損傷した毛髪の機械的強度を改善すると共に、化学的処理又は外的要因による損傷から毛髪を保護することができるこのような活性成分を提供することである。
【解決手段】 本発明は、グアニジノ基を含むポリシロキサン、および、化粧品配合物のためのその使用に関し、一般式(I)で与えられるポリシロキサン骨格上でグアニジノ基を任意に他の官能基と組み合わせることができる。
【化1】

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
人の毛髪は毎日様々な影響を受ける。ブラッシング、櫛で梳くこと、髪を上げること、又は髪を後で結ぶことによる機械的ストレスの他に、毛髪は、例えば、強い紫外線、寒さ、風および水などの環境の影響によっても傷む。また、特定の人の生理学的状態(例えば、年齢、健康)もケラチン繊維の損傷に影響を及ぼす。
【背景技術】
【0002】
しかし、特に、化学組成物を用いた処置も毛髪の構造および表面特性を変化させる。例えば、パーマ、脱色、染毛、着色(tinting)、スムージングなどの方法だけでなく、強い界面活性剤を用いた頻繁な洗浄も、多かれ少なかれ、毛髪の構造に損傷を引き起こす一因となる。このようにして、例えば、パーマ中、毛髪のコルテックスとクチクラの両方が傷む。シスチンのジスルフィド架橋は還元工程により破壊され、一部酸化されて後の酸化工程でシステイン酸が生じる。
【0003】
脱色中、メラニンが破壊されるだけでなく、更にシスチンのジスルフィド結合の約15〜25重量%が軽度の脱色中に酸化される。過度の脱色中、それは45重量%までにもなり得る(K.F.デ・ポロ、美容術の短教本、2000年、化学工業の出版社、H.シオルコウスキー社(K.F.de Polo,A Short Textbook of Cosmetology, 2000, Verlag fuer Chemische Industrie, H.Ziolkowsky GmbH)。
【0004】
従って、化学的処置、頻繁な洗浄、又は紫外線照射により、自然に分泌される毛髪の油脂又は湿潤剤(皮脂)が除去されることによって起こる、毛髪に不利な機械的特性が生じる。それによって、毛髪は、脆く、乾燥し、艶がなく、多孔質で、櫛通りが悪くなる。更に、完全に洗浄された毛髪は、個々の毛髪が縮れ、絡まる傾向を有するため、通常、湿潤状態と乾燥状態の両方で非常に櫛通りが悪い。毛髪は、このようにして、まず洗浄中に、および、その後、櫛で梳く間にその強度を失う。これは、濡れた毛髪の応力−歪力と引裂力の顕著な減少から明らかである。更に、それは、健康な毛髪よりも化学物質、界面活性剤、および環境の影響による更なる損傷に対して耐性が小さい。
【0005】
このようにして損傷した毛髪を修復するための特別な製剤、例えば、ヘアリンス、ヘアトリートメント、シャンプー、残留型(leave−in)コンデョショナーなどがあるが、これらは、主に、損傷した毛髪の櫛通り性、感触および艶を改善することができる。このような標準的な市販のヘアケア組成物は、主に、アルキルアンモニウムをベースにするカチオン性界面活性剤、ポリマー、ワックス、および油又はシリコーン油を含む。これらの化合物の効果は、カチオン性四級基の静電相互作用によるか、又は、むしろ、毛髪の表面の疎水化による可能性がある。しかし、それによって毛髪の(生)化学的修復は達成されない。
【0006】
毛髪中で、損傷により機械的特性が大きく低下するというこのような特定の問題に、長い間、非常に注目が払われてきた。
【0007】
これに関連して、例えば、クレアチンの使用が知られている。DE−A−101 14 561号明細書およびDE−A−101 19 608号明細書は、ケラチン繊維、特に人の毛髪の硬質化、強化、再構築、又は、艶、ボリューム、若しくは櫛通り性の増加のため、組成物にクレアチン化合物を使用することを記載している。
【0008】
クレアチンを使用することの欠点は、クレアチンは水相でのみ配合され得、それは常に水溶液中でクレアチンと平衡状態にあり、そのため、もはや毛髪用の活性物質として使用可能でないことである。更に、それは、低分子量のモノマー化合物であり、処理される繊維又は表面(皮膚又は毛髪)から再び容易に洗い流される。
【0009】
修復およびコンディショニングのためのヘアトリートメント組成物およびヘアアフタートリートメント組成物に使用されるクレアチン様化合物を使用することは、非公開文献DE−103 27 871.0号明細書およびEP−03013799.6号明細書にも記載されている。前記および他の多数の明細書(DE−506 282号明細書、特開平6−263621号公報、特開平11−035424号公報、特開平10−017442号公報)は、非常に様々なアルキルグアニジンを製造するための非常に様々な方法を記載している。特開2002−167437号公報だけが、アモジメチコンから出発し、単純な直鎖のシリコーン含有グアニジンの製造および使用を記載している。これらは、毛髪用化粧品を用いたヘアトリートメントに、および繊維処理組成物に使用される。
【0010】
グアニジニウム含有シリコーン化合物の他の効果および使用は、今まで文献で知られていない。グアニジノ基の他にシリコーン中に異なる官能基を組み合わせることも開示されていない。更に、グアニジニウム含有シリコーンモノマーの製造およびその後のそれらの重合は知られていない。
【0011】
この背景に対して、同様の生理学的効果を達成し、又は、さもなければクレアチンの効果を助け、向上させ、ポリマー構造を有し、ポリシロキサンの有利な特性に加えて毛髪をコンディショニングし、保護し、修復する効果を有する他の新規な物質を識別することは非常に重要である。従って、この文脈では、グアニジノ基の他に、他の官能基をシリコーン中に挿入することができる。
【0012】
従って、毛髪の機械的強度を改善し、毛髪構造の更なる損傷から毛髪を保護し、環境の影響、並びに、付形および染毛処理によって起こる毛髪への既存の構造的損傷を最小限にするヘアトリートメント組成物およびヘアアフタートリートメント組成物に広く使用され得、また、簡単な方法で製造でき、様々な官能基を互いに独立に組み合わせることを可能にする活性成分がまだ必要とされている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、損傷した毛髪の機械的強度を改善すると共に、化学的処理又は外的要因による損傷から毛髪を保護することができるこのような活性成分を提供することである。従って、化合物は組み合わさった効果を示さなければならない。第1に、それらは、コンデョショナーの役割をし、毛髪の艶、櫛通り性、柔軟性、ボリューム、付形性、取り扱い性、および絡まりの解け易さ(detangleability)を改善しなければならず、それと同時に、本発明による化合物は毛髪を損傷から保護し、毛髪の耐性を大きくし、および/又は前記損傷を修復しなければならない。これに関連して、シリコーン主鎖上の置換基を自由に組み合わせることにより、目標を絞って化合物の特性を調節することが可能でなければならない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明は、従って、次の一般式(I)のグアニジノ基含有ポリシロキサンを提供し、
【化1】

【0015】
式中、
は、同一であるか又は異なり、任意に二重結合を含有し、炭素原子数1〜30、好ましくは1〜4の任意に分岐した炭化水素基、又はフェニル基、又は−OR11若しくは−OHであり、
は、一部、R基の意味を有することができ、他のRは、互いに独立して次式(Ia、Ib又はIc)の基であり、
=−M−G (Ia)
=−M−Q (Ib)
=−(M)−S (Ia)
但し、平均分子において、少なくとも1つのR基が式−M−G(Ia)の基であることを条件とし、
式中、Gは次の一般式(Ia、Ia)を有するグアニジノ基、
【化2】

【0016】
および/又は、これらの塩又は水和物であり、式中、
a)は、互いに独立して水素、又は、任意に二重結合を含む任意に分岐した炭化水素基であり、
’は、R、又は、炭素原子若しくはヘテロ原子を介してMに結合し、その際に5〜8員環を形成するアルキレン基であってもよく、および
Mは、炭素原子数が少なくとも4で、1つのヒドロキシル基を有し、1つ以上の酸素原子又は窒素原子又は第四級アンモニウム基又はエステル若しくはアミド官能基で中断されていてもよい2価又は多価の炭化水素基であり、
は、次式(Id)の基であり、
【化3】

【0017】
、Rは、炭素原子数1〜4のアルキル基であり、
は、
【化4】

【0018】
であり、
は、炭素原子数1〜22の1価の炭化水素基であってもよく、
yは0〜6であり、
zは0又は1であり、
は、通例の生理学的に適合性のある酸HAに由来する無機又は有機アニオンであり、
Sは、H、一般式C2mO(CO)(CO)のポリアルキレンオキサイドポリエーテルであり、
式中、mは1〜6、特に3、6であり、
n、oは、互いに独立して0〜100、特に0〜20であり、ポリエーテルの分子量は100〜6000g/モルであり、
は、H、又は、任意に二重結合を含有し、炭素原子数2〜30、好ましくは4〜22の任意に分岐している芳香族又は脂環式炭化水素基、又は紫外線吸収基、特に桂皮酸又はメトキシ桂皮酸であり、
xは、0又は1であり、
aは、互いに独立して8〜1000、好ましくは20〜200の値を有し、
bは、0〜10の値を有する。
【0019】
無機又は有機アニオンであるAの好ましい例は、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、ヘプタン酸、カプリル酸、ノナン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、アクリル酸、メタクリル酸、ビニル酢酸、クロトン酸、2−/3−/4−ペンテン酸、2−/3−/4−/5−ヘキセン酸、ラウロレイン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、ガドレイン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、ピバル酸、エトキシ酢酸、フェニル酢酸、乳酸、2−エチルヘキサン酸、シュウ酸、グリコール酸、リンゴ酸、マロン酸、コハク酸、酒石酸、グルタル酸、クエン酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、安息香酸、o−/m−/p−トルイル酸、フェニル酢酸、サリチル酸、3−/4−ヒドロキシ安息香酸、フタル酸又はその完全に又は部分的に水素化された誘導体(ヘキサヒドロ−又はテトラヒドロフタル酸など)、炭酸、リン酸、塩酸、硫酸、および、これらの混合物、特に、乳酸、酒石酸、酢酸および塩酸などの通例の生理学的に適合性のある酸HAに由来する。これに関連して、本発明の目的のために、好適なシリコーングアニジン誘導体を互いに混合して、又は、さもなければ混合塩を使用することも可能である。
【0020】
本発明は、更に、一般式IIのグアニジノ基含有シランを、一般式IIIの1種類以上の異なるシラン、および一般式IVの1種類以上の異なるOH−又はOR11−官能性シロキサンと、任意に、縮合を促進する触媒および/又は水および乳化剤の存在下で反応させることによって得られるシリコーングアニジン誘導体を提供し、
【化5】

【0021】
式中、
は、同一であるか又は異なり、炭素原子数1〜30の炭化水素基、好ましくは炭素原子数1〜2の炭化水素基、又はフェニル基であり、
は、同一であるか又は異なり、炭素原子数1〜30の炭化水素基、好ましくは炭素原子数1〜2の炭化水素基、又はフェニル基、又はOR基であり、
gは、0〜10、好ましくは1〜3であり、
hは、1〜11、好ましくは1〜4であり、
iは、0〜3、好ましくは<2であり、
10は、炭素原子数1〜30であり、任意に分岐しており、1つ以上のアミン又はOH又はSH基を有し、任意にアミン又はエーテル官能基で中断されている脂肪族又は芳香族炭化水素基、又はOR又はポリエーテルであり、
11は、炭素原子数1〜30、好ましくは1〜4で、任意に分岐している脂肪族又は芳香族炭化水素基、又はHであり、
kは0〜10の整数であり、
jは8〜1000の整数である。
【0022】
本発明は、更に、少なくとも1つのエポキシ基を含有するシロキサンを、高温で、一般式、
Z−G、
(式中、
Gは、前述の意味を有し、
Zは、炭素原子数が少なくとも2、好ましくは3〜6で、任意にヘテロ原子、特にNを含み、炭素原子又はヘテロ原子を介してR’に結合されていてもよく、その際に5〜8員環を形成する炭化水素基である)
のグアニジン化合物および/又はその塩とそれ自体既知の方法で反応させる、これらの化合物の製造方法を提供する。
【0023】
本発明は、更に、一般式IIのグアニジノ基含有シランを、一般式IIIの1種類以上の異なるシランおよび式IVの1種類以上の異なるOH−又はOR11−官能性シロキサンと、縮合を促進する触媒の存在下で混合し、任意に水および1種類以上の乳化剤の存在下で加熱する、これらの化合物の製造方法を提供する。
【0024】
当業者には、本化合物は、統計学の法則によって本質的に制御される分布を有する混合物の形態で存在することが分かる。従って、指数aおよびbの値は平均値を表す。
【0025】
本発明は、更に、同時に毛髪の構造に改善をもたらすヘアトリートメントおよびヘアアフタートリートメント用の化粧品配合物を製造するためのコンディショナーとしての、本発明による化合物の使用を提供する。
【0026】
本発明により使用される又は一緒に使用されるシリコーングアニジンは、良好な安定性と良好な配合性の両方を有し、低い使用濃度でもかなりの効果をもたらし、毒性がなく、毛髪と頭皮が十分に耐えられ、他の成分との適合性が高く、問題なくヘアトリートメント組成物に組み込むことができる。更に、それらは僅かな抗微生物効果も有し得る。
【0027】
従って、本発明による化合物は、シリコーン主鎖上で異なる官能基を組み合わせている。まさにこれらの組み合わせは、毛髪のコンディショニング効果だけでなく、繊維強度の改善(伸長強度および弾性率が増加する)も生じさせる。この効果は、一般に、修復効果とも称される。毛髪のケラチンに対するグアニジン基の高い親和性のため、効果の持続が観察される。化合物の特性を互いに独立に目的を絞って調節し、構築ブロック原理(building block principle)に従って互いに適合させることができる。
【0028】
皮革又は家具などの多孔質表面用のケア配合物で、シリコーングアニジンを用いると、処理面に非常に良好な艶の増加が観察される。それらの永続性(substantivity)により、それらは、静電効果による再汚染を防止する持続性保護フィルムを提供する。それらの疎水性の性質のため、それらは更に、多孔質の物質がすぐにずぶ濡れになることを防止する。このようなケアエマルションは、通常、水溶液中に1〜3%の乳化剤、3〜5%のワックス、2〜5%の油、および0.5〜1%の増粘剤を含む。これについて、前述の特性を著しく増加させるため、本発明によるシリコーングアニジン化合物0〜5%、特に1〜3%を使用する。
【0029】
金属面又は塗装面などの平滑な表面用のケア配合物で、シリコーングアニジンを用いると、表面に過度の油性感を生じることなく、処理面に非常に良好な艶が得られる。それらの永続性により、それらは、静電効果による再汚染を防止する持続性保護フィルムを提供する。シリコーングアニジンを使用すると、通例のケア物質が減少し、従って、油又はワックスなどのケア物質を使用するときに生じる指紋と称される跡も減少する。平滑な表面用のケアエマルションは、通常、水溶液中に0〜10%の乳化剤、1〜8%のワックス、2〜8%の油(ほとんどの場合シリコーン油)、および0.5〜1%の増粘剤を含む。これについて、前述の特性を著しく増加させるため、本発明によるシリコーングアニジン化合物0〜5%、特に1〜3%を使用する。
【0030】
洗車用の乾燥助剤で、本発明によるシリコーングアニジン化合物は、ここでも、それらの永続性により持続性保護フィルムを生成するため、この目的に通例のマイクロエマルションに添加される。これは、その静電効果により再汚染を防止し、従って持続的な艶を生じさせる。通例の乾燥助剤は、この効果を生じさせるため、本発明によるシリコーングアニジン化合物0.1〜5%を含む。記載されている乾燥助剤は、1種類以上の第四級化合物(一般に5〜25%の使用量)、および1種類以上の疎水性油(一般に3〜30%の使用量)から配合されるカチオン性マイクロエマルションであり、これらは、任意に補助乳化剤(coemulsifier)(一般に0〜5%の使用量)で安定化される。
【0031】
グアニジニウム基を含有するポリシロキサンの好ましい例は、次の一般式(I)の化合物である。
【化6】

【0032】
a=8、28、48、78;u=アニオンの原子価
【化7】

【0033】
m=83、73、13;n=5、25
【化8】

【実施例】
【0034】
本発明による化合物の製造方法およびこれらの化合物の特性を、以下の実施例に、より詳細に記載する。
【0035】
第四級シリコーングアニジンを製造するための前駆体(1−(3−N,N−アミノプロピル)グアニジニウムアセテート)を、DE−506 282号明細書又はDE−103 27 871.0号明細書およびEP−03013799.6号明細書に記載されている手順に従って合成した。
【0036】
実施例1
次の一般式の本発明によるグアニジノポリシロキサンの調製:
【化9】

【0037】
次式のグアニジニウム基(酢酸塩として存在する)を含有する第三級アミン10g(0.1モル)
【化10】

【0038】
を、最初に、酢酸3g(0.103モル)およびイソプロパノール40mlと一緒に、攪拌機、滴下漏斗、温度計、および還流冷却器を装備した250mlの四つ口フラスコに導入する。約1時間後、次式のエポキシシロキサン(これらは、アリルグリシジルエーテルでヒドロシリル化することによる既知の方法で調製される)19.5g(エポキシ0.1モル)
【化11】

【0039】
を1滴ずつ添加し、還流温度に加熱し、6時間攪拌する。次いで、減圧下、80℃で混合物を蒸留する。高粘度の黄色生成物が得られる。
【0040】
実施例2:
次の一般式の、本発明によるグアニジノポリシロキサンの調製:
【化12】

【0041】
実施例1に記載の第三級アミン20.4g(0.1モル)を、最初に、イソプロパノール40ml中の酢酸6.2g(0.1モル)と一緒に、攪拌機、滴下漏斗、温度計、および還流冷却器を装備した250mlの四つ口フラスコに導入する。還流温度で1時間後、次の一般式のエポキシシロキサン113g(エポキシ0.1モル)
【化13】

【0042】
を1滴ずつ添加し、還流温度に加熱し、6時間攪拌する。次いで、減圧下、100℃で混合物を蒸留する。ワックス様の黄色生成物が得られる。
【0043】
実施例3
次の一般式の、本発明によるグアニジノポリシロキサンの調製:
【化14】

【0044】
水70g、脂肪族アルコールエトキシレート40g、50%の濃度の水酸化ナトリウム水溶液10g、グアニジノ基含有シランMeSi(OEt)−(CH−NHC(NH)=NHCHCOO10g、アミノ官能性シロキサンMeSi(OEt)−(CH)−NH10g、および、式HO−SiMeO−(SiMeO)−SiMeOHのシラノール240gを250mlのフラスコ中で一緒に攪拌する。混合物を70℃に加熱し、4時間反応させる。次いで、それを水130mlで希釈し、酢酸で中和する。これによって、前述のグアニジノ基含有シロキサンの水性エマルションが得られる。
【0045】
適用に関連する比較:
適用に関連する比較のため、本発明による以下のグアニジノポリシロキサン(対イオンとしての酢酸イオンと共に存在する)を使用した。
【0046】
次の構造式による化合物1および2:
【化15】

【0047】
(式中、化合物1はa=8を有し、化合物2はa=28を有する)
次の構造式による化合物3および4:
【化16】

【0048】
(式中、化合物3はm=13およびn=5を有し、化合物4はm=83およびn=5を有する)
本発明による化合物1、2および3を使用するヘアトリートメント組成物の調製および試験:
適用に関連する評価のため、官能検査に使用される毛髪束(hairtress)に、パーマ処理および脱色処理による標準化された方法で予め損傷を与える。これについて、スタイリングに通例の製品が使用される。
【0049】
材料:
・パーマ液(例えば、「オンディ(ondi)」、ウェラ(Wella))
・中和剤(例えば、「ニュートラフィックス(neutrafix)」、ウェラ(Wella))
・粉末脱色剤(例えば、「ブロンダースペシャル(blondor special)」、ウェラ(Wella))
・H(例えば、「ウェルオキシド(Welloxyd)9%」、ウェラ(Wella))
・ケア成分を含まないシャンプー(例えば、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム(12%WAS)、NaCl濃縮)
・ビーカー
・染毛用ブラシ
以下の順番で処理を実施した:
1.パーマ処理
毛髪束をパーマ液(毛髪:液の重量比=1:2)で濡らす。覆いをしたビーカー中、室温で15分の接触時間の後、パーマ液を注意して2分間すすぎ流す。次いで、タオルを使用して毛髪束を軽く搾る。中和(毛髪:液の比=1:2)は室温で10分の接触時間を有する。次いで、中和液を注意して2分間すすぎ流す。次いで、毛髪を室温で一晩、乾燥させる。
【0050】
2.脱色処理:
粉末脱色剤およびHを処理し、ペースト(粉末:Hの重量比=2:3)を得る。次いで、ブラシを使用して、パーマをかけた毛髪にペーストを直ぐに塗布する。接触時間は室温で30分である。次いで、脱色ペーストを流水で2分間すすぎ流す。
【0051】
次いで、コンディショナーを含まないシャンプーで1分間洗浄した(シャンプーの量:0.5ml/毛髪束)後、1分間すすぎ流す。予め損傷を与えた毛髪束を官能検査に使用する前に、それらを室温で一晩乾燥させる。
【0052】
試験配合物:
以下の組成を有する簡単なヘアリンスでコンディショニング製品を試験する。
【表1】

【0053】
「コンデョショナー」は、本発明による化合物の実施例又は比較製品を指す。
【0054】
予め損傷を与えた毛髪束のコンディショニングサンプルを用いた標準化された処理:
前述のように予め損傷を与えた毛髪束を、前述のコンディショニングリンスで以下のように処理する。
【0055】
温かい流水で毛髪束を濡らす。余分な水を手で軽く絞った後、リンスを塗布し、毛髪に軽く染み込ませる(1ml/毛髪束(2g))。1分の滞留時間の後、毛髪を1分間すすぐ。
【0056】
官能評価の前に、毛髪を大気湿度50%および25℃の空気中で少なくとも12時間乾燥させる。
【0057】
評価基準:
1〜5の尺度で与えられる評点により官能評価を行い、1は最も低い評価であり、5は最も高い評価である。
【表2】

【表3】

【表4】

【表5】

【表6】

【0058】
下記の表1は、本発明による物質又はプラセボを用い、前述のように実施した毛髪束の処理の官能評価の結果を比較する。
【表7】

【0059】
本発明による化合物実施例は、官能評価で非常に良好な化粧品評価を受けることが明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の一般式(I):
【化1】

(式中、
は、同一であるか又は異なり、任意に二重結合を含有し、炭素原子数1〜30の任意に分岐した炭化水素基、又はフェニル基、又は−OR11若しくは−OHであり、
は、一部、R基の意味を有することができ、他のRは、互いに独立して次式(Ia、Ib又はIc)の基であり、
=−M−G (Ia)
=−M−Q (Ib)
=−(M)−S (Ia)
但し、平均分子において、少なくとも1つのR基が式−M−G(Ia)の基であることを条件とし、
式中、Gは次の一般式(Ia、Ia)のグアニジノ基、
【化2】

および/又は、これらの塩又は水和物であり、式中、
a)は、互いに独立して水素、又は、任意に二重結合を含む任意に分岐した炭化水素基であり、
’は、R、又は、炭素原子若しくはヘテロ原子を介してMに結合し、その際に5〜8員環を形成するアルキレン基であってもよく、および
Mは、炭素原子数が少なくとも4であり、1つのヒドロキシル基を有し、1つ以上の酸素原子又は窒素原子、又は第四級アンモニウム基又はエステル又はアミド官能基で中断されていてもよい2価又は多価の炭化水素基であり、
は、次式(Id)の基であり、
【化3】

、Rは、炭素原子数1〜4のアルキル基であり、
は、
【化4】

であり、
は、炭素原子数1〜22の1価の炭化水素基であってもよく、
yは0〜6であり、
zは0又は1であり、
は、通例の生理学的に適合性のある酸HAに由来する無機又は有機アニオンであり、
Sは、H、一般式C2mO(CO)(CO)のポリアルキレンオキサイドポリエーテルであり、
式中、
mは1〜6、特に3、6であり、
n、oは、互いに独立して0〜100、特に0〜20であり、ポリエーテルの分子量は100〜6000g/モルであり、
は、H、又は、任意に二重結合を含有し、炭素原子数2〜30、好ましくは炭素原子数4〜22の、任意に分岐している芳香族又は脂環式炭化水素基、又は紫外線吸収基、特に桂皮酸又はメトキシ桂皮酸であり、
xは、0又は1であり、
aは、互いに独立して8〜1000、好ましくは20〜200の値を有し、
bは、0〜10の値を有する)
のグアニジノ基含有ポリシロキサン。
【請求項2】
前記R基の少なくとも1つがグアニジノ基を有し、Rがメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基又はフェニル基であってもよい、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Mが、同一であるか又は異なり、次の群から選択される基の1つである、請求項1又は2に記載の化合物。
【化5】

【請求項4】
無機又は有機アニオンであるAが、炭酸、リン酸、塩酸、硫酸、および、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、ヘプタン酸、カプリル酸、ノナン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、アクリル酸、メタクリル酸、ビニル酢酸、クロトン酸、2−/3−/4−ペンテン酸、2−/3−/4−/5−ヘキセン酸、ラウロレイン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、ガドレイン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、ピバル酸、エトキシ酢酸、フェニル酢酸、乳酸、2−エチルヘキサン酸、シュウ酸、グリコール酸、リンゴ酸、マロン酸、コハク酸、酒石酸、グルタル酸、クエン酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、安息香酸、o−/m−/p−トルイル酸、フェニル酢酸、サリチル酸、3−/4−ヒドロキシ安息香酸、p−トルエンスルホン酸、安息香酸、サリチル酸、桂皮酸、4−メトキシ桂皮酸、4−アミノ安息香酸、4−ビス(ヒドロキシプロピル)アミノ安息香酸、4−ビス(ポリエトキシ)アミノ安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸、3−イミダゾール−4−イルアクリル酸、2−フェニルベンズイミダゾール−5−スルホン酸、3,3’−(1,4−フェニレンジメチン)ビス(7,7−ジメチル−2−オキソ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−メタンスルホン酸)、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸および3−(4’−スルホ)ベンジリデンボルナン−2−オン、フタル酸、又はその完全に又は部分的に水素化された誘導体(ヘキサヒドロ−又はテトラヒドロフタル酸など)、および、これらの混合物、特に、乳酸、酒石酸、酢酸および塩酸などの通例の生理学的に適合性のある酸HAに由来する、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
各Qが、同一であるか又は異なり、カプリルジメチルアミン、ラウリルジメチルアミン、ココジメチルアミン、ミリスチルジメチルアミン、セチルジメチルアミン、ステアリルジメチルアミン、ベヘニルジメチルアミン、オレイルジメチルアミン、カプリロイルアミドプロピルジメチルアミン、ラウリルアミドプロピルジメチルアミン、ココアミドプロピルジメチルアミン、ミリストアミドプロピルジメチルアミン、パルミトアミドプロピルジメチルアミン、ステアルアミドプロピルジメチルアミン、ベヘンアミドプロピルジメチルアミン、オレアミドプロピルジメチルアミン、ウンデシレンアミドプロピルジメチルアミン、リシノールアミドプロピルジメチルアミン、およびグアニジノプロピルジメチルアミン、からなる群から選択されるカチオン基である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
少なくとも1つのエポキシ基を含有するシロキサンを、高温で、一般式、
Z−G、
(式中、
Gは、前述の意味を有し、
Zは、炭素原子数が少なくとも2、好ましくは3〜6で、任意にヘテロ原子、特にNを含み、炭素原子又はヘテロ原子を介してR’に結合されていてもよく、その際に5〜8員環を形成する炭化水素基である)
のグアニジン化合物および/又はその塩と、それ自体既知の方法で反応させる、請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物の製造方法。
【請求項7】
一般式IIのグアニジノ基含有シランを、一般式IIIの1種類以上の異なるシラン、および式IVの1種類以上の異なるOH−又はOR11−官能性シロキサンと、任意に、縮合を促進する触媒および/又は水および乳化剤の存在下で反応させることにより得られる、グアニジノ基含有ポリシロキサン。
【化6】

(式中、
は、同一であるか又は異なり、炭素原子数1〜30の炭化水素基、好ましくは1〜2の炭化水素基、又はフェニル基であり、
は、同一であるか又は異なり、炭素原子数1〜30の炭化水素基、好ましくは炭素原子数1〜2の炭化水素基、又はフェニル基、又はOR基であり、
gは、0〜10、好ましくは1〜3であり、
hは、1〜11、好ましくは1〜4であり、
Iは、0〜3、好ましくは<2であり、
10は、炭素原子数1〜30で、任意に分岐しており、1つ以上のアミン又はOH又はSH基を有してもよく、任意にアミン又はエーテル官能基で中断されている脂肪族又は芳香族炭化水素基、又はOR又はポリエーテルであり、
11は、炭素原子数1〜30で、任意に分岐している脂肪族又は芳香族炭化水素基、又はHであり、
kは0〜10の整数であり、
jは8〜1000の整数である)
【請求項8】
ヘアトリートメント組成物およびヘアアフタートリートメント組成物中のコンデョショナーとしての請求項1〜5および請求項7のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項9】
ヘアトリートメント組成物およびヘアアフタートリートメント組成物用の、および毛髪の構造を改善するためのコンデョショナーとしての請求項1〜6のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項10】
請求項1〜5および請求項7のいずれか一項に記載の化合物の少なくとも1つを0.05〜10重量%、1種類以上の乳化剤を0〜10重量%、1種類以上の稠度調整剤を0〜10重量%、1種類以上の好ましくはカチオン性の界面活性剤を0〜10重量%、1種類以上の化粧用油又は皮膚軟化薬を0〜20重量%、および、通例の濃度の通例の助剤および添加剤を含み、ケラチン、コラーゲン、エラスチン、小麦、米、大豆、牛乳、絹、コーン又はビタミン類をベースにする植物又は動物由来の蛋白質加水分解物、パンテノール、ピロリドンカルボン酸、ビサボロール、植物抽出物、クレアチン、セラミド、および紫外線吸収剤の群から選択される1種類以上の毛髪化粧有効成分を更に含む、ヘアトリートメント組成物又はヘアアフタートリートメント組成物。
【請求項11】
改善された艶を有するケア配合物を製造するための、請求項1〜6のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項12】
洗車用の乾燥助剤中の請求項1〜6のいずれか一項に記載の化合物の使用。

【公表番号】特表2008−533218(P2008−533218A)
【公表日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−552548(P2007−552548)
【出願日】平成18年1月13日(2006.1.13)
【国際出願番号】PCT/EP2006/000260
【国際公開番号】WO2006/081927
【国際公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【出願人】(500442021)ゴールドシュミット ゲーエムベーハー (28)
【Fターム(参考)】